『誇大妄想展開領域』 黒のカラーケントに メタリック系ボールペン

誇大妄想展開領域

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さわれない音をみる (4)

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 九つにして右目を無くした折、われは流行りの疱瘡を患った。それゆえ憶えはなれども、その歳だけは定かなのだ。
 死に人さえ数多でたほどの惨状であったそうだが、幸いにしてわれは軽くて済んだ……らしい。もしも左様であらざるならば、われは斯様にして生き長らえて居らぬであろう。……例によって憶えがまるで霞がかりゆえに、詳らかにすることが出来ぬのだ。身に残りし数多のあばたは、われ一命をとり留めしことの証である。
 されど二つ違いの妹は、その時節に往んだのであった……と思う。久しき憶えの中に七つ八つよりも長じたる妹の姿はあらず、病の床に伏せりしその赤き斑顔がはっきりと目に浮かぶのであるから、おそらく左様であったに違いあるまい。


 否、果たして真に左様であったのだろうか……。己に絵心が無かったなどと独り決めにしていたごとく、これもまた邪なるわれの、あらぬ思い込みに他ならぬのではあるまいか……。


 今の今まで疑り問うこともなしに三十有余年を過ごしてきた、幼き妹の末期についてここに解き明かし、それをはっきり見定めねばならぬだろう……。


 

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さわれない音をみる (3)

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 わが右目を無きものにした時、われは未だ九つのであった。


 疫病ばやりの時節だった上に、凶作つづきと大水が重なり、は修羅場のごとき相を帯びていたはずだ。されど育ち盛りの童であったわれには、ただいつも腹が空いていたという憶えしかない。


 いかなる訳で片目を無くす運びとなったのか、らかにすることはわれにも出来ぬ。隠し事をしているわけではない。如何にしても思い出すことが出来ぬのだ。さほど重たき事を思い出せぬとは、と怪しむ者も多々あろう。されど人の憶えというものには、重たき事だからこそ忘れるという妙な嫌いがあるのではないか………。


 過ぎ去りし日々を思い返すとき、われには決して窺うことの出来ぬ、大いなるが幾つかある。上に語りし時節もその一つなのだ。今日のこの日に至るまで、われはその虚を敢えて見定めようとしたことがなかった。されど、ことし厄年の爺となりしわれは、わが命果てぬうちに、わが子らと孫らのため、なんとしてでもそれを解き明かさねばならぬ  何故にかそう思われてならぬのだ……。


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さわれない音をみる (2)

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『 沈 黙  ( こ ち ら )  と 視 線  ( あ ち ら ) 』

 わたくしが左のまなこを無くしましたのは、数えで十一になるとしの秋彼岸のこと……。


 ひでり続きの年でしたゆえに、いのちをなくした人も数しれず片目くらいで済んだなら、まだしもと思われましょう。
 たび重なるに疫病 ・大火で京のまちは荒れて、いまだ焼けくずれた家々ばかりと聞いておりましたし、奈良の都にも何処とも知れぬ土地から流れてきたが少なからぬ、とのことでございました。
 しかれども、ここ明日香のむらはいたって平和で、たしか穫り入れも彼岸会もつつがなく行なわれた憶えがございます。


 村方とはいささか離れた、里山にごく近いところにありましたわたくしの家でも、お萩がわりの粟餅御巌へお供えしたものでした。裏山から半里いったその大岩は、お家にとりましてに当たります。


 わたくしのひだり目もそこへ捧げられました




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『 意 志  ( ぎ ょ う こ ) 』

 僕が右眼を失ったのは10歳になる年の秋だった


 事故にあったわけでもなければ、だれか悪童にやられたわけでもない。我が一族 一千年来の掟に従ってのことだ。
 僕の家系の長子は、満十歳を迎える年の秋分の中日、その片眼を “自らの分身” に捧げなければならない。男子であれば右眼を、女子であれば左眼を……。じじつ僕の父親は右眼がないし、父方の祖母は左眼がなかった。そして、比較てき長命な家系ゆえ 僕が5歳になるまで健在だった曾祖父は、やはり片眼だったという記憶がにだが、ある……。


 どうやって眼を取り出すのか、って?
 それは秘伝だから教えるわけにはいかない。……とにかく、一連の厳密な手順にしたがって片眼を慎重に摘出するのだ。ただ、想像力が豊かすぎる人のためにこれだけは述べておいたほうがいいだろう  その全課程をつうじて痛みは全く感じなかった……。代々つたわるその技術は、まさに秘術と呼べるほど高度なものなのだ。




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Minr Kamti / 亀谷 稔

Minr Kamti / 亀谷 稔

1961年生まれ。
武蔵野美大卒。
建築プレゼンテーション・調理・知的障害者たちの陶芸制作活動補助、といった職を経た後に、2006年7月より創作活動に専念している微細画家 。2007年1月、銀座 - あかね画廊にて初個展。
今現在('08年4月)の描法は、かつて伐採予定地などで行なっていた舞踏を応用した自動筆記法である。
   著書 『全一の展開
         末端の必然』

             奥付より

* オフィシャルサイトにて本の内容をご紹介しております。購入のご決断をされる前に ぜひこちらをどうぞ……。

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