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ターミネーターとレジスタンス 1

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<21.Jun.2019>  “” の暦によれば、今日は夏至だ。
 このさき何百年間も 狂うことなく正確に時を刻む、とされているバリオン時計を信用するなら……。
 まだ生きていると主観的には自覚している この私自身を信用できるならば……。


 ここ数年来、確実だと言い切れるものは もう何ひとつ存在しなくなった。
 いや……むしろ この現実が単なる悪夢であってほしいと切に願うのだ。

 《審判の日》 からもう11年の歳月が流れた……。




 人類は果たして滅びる運命にあるのだろうか……?


 誰しも 一度はそう自問したであろうが、決して答えを得られはしない。
 彼こそが “救世主” であると皆に信じられている ジョンにさえ判らないだろう。


 やれやれ、“審判の日” に “救世主” か……
 神を殺して久しいというのに、未だ我々は宗教的言辞を使い続けている。
 この皮肉なアナクロニズム*は、滑稽というより むしろ哀れだ……痛ましいまでに 哀れだ。




 たとえ人類が過酷きわまりない運命に翻弄されていようとも、我らが母星たる地球は 何事もないかのように自らの軌道を巡っていく……。
 そう………今日は夏至だと皆も信じている。
 ならば、それでいいじゃないか。


 七歳児でも知っていることだが、夏至というのは1年のうちで一ばん昼が長い日のこと……。
 しかし、本当にそうであるのかということは、最も信頼の置ける長老にすら 現代はもう判らない。
 形勢の挽回を急いだスカイネットが卑劣にも戦略核*を使ったため、この大陸全体が “死の雲” に覆われてしまったからである。


 これは正に符合であるに違いない。
 「いちばん長い昼」 どころか、いまの人類にあるのは永い永い、いつ明けるとも知れない 《夜》 だけなのだから……。


 我々は生まれてくるべきではなかったのか……?


 かつてはこの星の上に 66億もの人間が居た……
 《審判の日》 の直前には、それほど多くの人間たちが犇きあっていた。
 ……そうだ。私の身体はいまでも憶えている   亡き妻と二人で暮らしていたニューヨークの、街路や地下鉄駅や 日暮れ時のDEPACHIKAに、いつでも群がっていた人ごみの圧迫感を……。
 まったく信じがたいことだ。
 今ここで 危うく滅びかけようとしている私たちと、寸分たがわぬを抱いた人たちが、そんなに大勢 存在していただなんて……。


 私は生まれてくるべきではなかったのか……?


 いまの今まですっかり忘れていたが、今日は私の誕生日でもあった。
 自分が何年生れだか まだ憶えているし、暗算だって やろうと思えばできることは解っているが、今年で何歳になったのか なんてことは もはや知りたくもない。
 その日を祝う気にもならないのに、「おめでとう」 と言われたら笑顔を返さなければならないのが厭で、他人に自分の誕生日を告げなくなって もう随分になる……。




 それでも私は生きていくだろう。
 自分自身のために ではなく、同胞たちのために……。


 なぜか まだ死ねない ・死なないということが私には解る。
 何か重大な役割が私に残されているような気がするのだ……。


 見張りの交代まで あと2時間あまり……。
 全神経を張り詰めさせて警戒に努めよう。


 少なくとも今は……それが私の使命だ。






はじめに   

 上にその一部を紹介した日記のオリジナルは、ほんの2週間ほど前に、我らが同志、故 カムティ ・ミノタニ 〔この正称は当人でさえまともに発音することができなかったため、この偉大なる日系三世の姓は 自他共に “ミノーラ” で通されていた〕 の遺品の中から発見された、メモリー・スティックに収められていたものである。
 かのおぞましき 《審判の日》 に、その最愛の妻をも含めた全血族を一瞬にして失い、また 子供を儲けてもいなかった彼には、もとより遺族などあろうはずがない。よって、ここにその “遺志” を公にすることを決した全ての責任は、ただ この私ひとりにある。


 生前のカムティは殊のほか無口な人だった。この抵抗軍に合流する以前のことは、指導者のジョンですら 詳しくは知らないらしい。
 でも彼は紛れもないいい人であった と同時に、根っからの戦士であった ということを知らぬ者は誰一人いない。
 そもそも、あの人のお祖父さんは サムライの末裔だったそうだし、お母さんは 私の養母と同じ オグララ ラコタ*のフル ブラッドだったということだから……。


 もしも人間の文明が持続していたならば 今年でようやく成人になる若輩の私ではあるが、故人との絆は他の誰よりも強い!
 そうした自らの定めを私は誇りに思っているし、この巡り合せを授けてくれた運命に感謝している。




 私たちは最後にきっと勝利するだろう。


 いまはもう苦しみのない眠りについている彼と共に 《その日》 を喜び合える時まで……。
 どうぞ安らかに………。

    編者






終わらせる者抗う者 1
     贖罪   -



<24.Jun.2019>  決死隊に志願した。


 今度という今度だけは、まず生き延びられないだろう……どうも そんな気がする。
 だが それでもいい。
 もう十分に生きたから……。


 ジョンの目算によれば このミッションの成功率は およそ30パーセントだという。
 そして、8人で構成される小隊のうち その半数が生還できる可能性は……ほとんど0!
 


 OK……望むところだ。
 ようやく これでお役目御免ということになるのだろうか……?
 ようやく………。




 あれは三十歳代半ばのことだったから、たぶん 《審判の日》 の直前だったに違いない。
 とても興味深い、符合的なまでに興味深い映画を観た。
 そのタイトルは、
  『アフター ・デイズ』 アフター・デイズ [DVD] ……
 確か カナダ映画だったと思う……。


 全人類が一瞬にして消え失せたとしたら、そのあと地球はどう変わっていくか……
 ということを克明にシミュレートしたドキュメンタリー作品だった。


 純粋な思考実験ゆえに、滅亡へのシナリオなど一切なし。
 当時 しきりに作られていた破局ものにありがちだった、大げさな阿鼻叫喚も 感動的な人間ドラマも、一切なし!
 全世界に犇きあっていた66億の人々が、同時に、一瞬にして、(全滅ではなく) 消滅するのだ!
 我が国のハイウェイでは、乗り手を突然うしなった数十万台もの車両群が、完全な慣性等速運動のクラッシュ劇を演じる……
 英国の首都では、無人のダブルデッカーがトラファルガー広場に佇む提督像の足元に激突する……
 祖父の母国 日本では……
 ノース・ダコタでは……
 どこそこ では……
 どこそこ では……


 そして、《その瞬間》 の直後に起こる出来事が一とおり描かれた後には、人間不在の世界で展開していく “幸・不幸” の数々がカウントアップされていくのである。
 世界中に散らばる原発では 冷却水の温度が上昇し……といったようなことが、延々と………。
 正直いって、その辺りのお話には さほど興味が持てなかった。ただ よく出来たCG映像を楽しんでいただけ……。
 私が心底から面白いと感じたのは、機械化文明が崩壊した後の変遷だったのである。


 やれやれ……
 当時でさえ既に完全な発達を遂げていたCG技術によって 充分リアルに描き出されたその未来像の、なんと感動的だったことか……


 そう、そのとおり……我われ人類が地球上から居なくなりさえすれば……そうすれば 全ては元通りになり、 《野生の王国》 野生の王国セット ~復刻 ナショナル ジオグラフィック 名作選~ [PPV-DVD] が復活するのだ。なんと素晴らしいことではないか……。


 嘘偽りなく打ち明けるならば、そう私は感じたのである。
 祝福すべき世界再生の物語に、まるで 初めて観る 「エピソード3」 に我をも忘れるスタ-ウォーズ フリークのごとく、胸をときめかせたものだった……。
 やれやれ………。


 私がそんな罪深い想いを抱いたからこそ この破局が訪れたのだ、などと本気で思い悩むほどデリケートじゃない。もはや子供ではないのだから……。
 だが しかし………


 この私 ただ独りを残して、私が愛していた全ての人々が死んでいったということもまた事実なのである。
 …………………………………………。




 だからこそ私は、あの日 以来ずっと……死に場所を求めて続けてきた……。己の苦しみから逃れんがための自殺ではなく、他者に何かを与えんがための殉死を……。


 それが、ようやく、明日……?




    2009. 6. 24 続




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Minr Kamti / 亀谷 稔

Minr Kamti / 亀谷 稔

1961年生まれ。
武蔵野美大卒。
建築プレゼンテーション・調理・知的障害者たちの陶芸制作活動補助、といった職を経た後に、2006年7月より創作活動に専念している微細画家 。2007年1月、銀座 - あかね画廊にて初個展。
今現在('08年4月)の描法は、かつて伐採予定地などで行なっていた舞踏を応用した自動筆記法である。
   著書 『全一の展開
         末端の必然』

             奥付より

* オフィシャルサイトにて本の内容をご紹介しております。購入のご決断をされる前に ぜひこちらをどうぞ……。

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