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ターミネーターとレジスタンス 5

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終わらせる者抗う者 5
     カイルの憧憬   -



<21.Dec.2025>  カイルの戦闘能力は指数関数的に向上している。
 筋肉に頼りがちな二十歳代前半の青年というよりは、場数を踏んで 無駄な動きを極限まで削ぎ落とした、迅速 ・強靭な壮年戦士のごとき動作効率性……。
 更にまた 驚くべきことに、彼は 時速80マイルで疾走するランド・ローヴァーの荷台から、1発のフォロー・ポイント * で 直列に立てた2枚の標的中央 1インチ半以内を確実に撃ち抜くのだ。その動体視力と四次元座標直覚力は、ほとんどモトターミネーターと言えるだろう。


 天性の潜在運動能力は、ヒトという動物の場合、個体間にさほど優劣の差があるわけではない。過酷な実戦でも通用する完璧な機動性を開花させるのは、実のところ、少年時代に始まる持続的な環境ストレスなのである。


 野生動物が太古の昔から生きてきた 弱肉強食戦場世界……。


 正にこれこそが、文明社会という巨大な防壁に守られ ・甘やかされ続けてきた人類が 久しく忘れ去っていた動物本来の身体能力を 再び我々に取り戻させてくれたのだ 〔皮肉なことだが この “先祖がえり” をもたらしたのは他ならぬスカイネットなのである〕。機械軍との戦争   それは即ち 機械による人間狩りを意味していた   が勃発したのは、カイルが未だ6歳にもなっていない頃だった……。


 カイルにせよ スターにせよ、まさに戦争の申し子なのだ。幼少の頃から 〔スターに至っては生まれ落ちたときから〕 ずっと追われる身であり、己を守るため ・生き延びるために絶えず闘ってきた。それが日常だったのだ。ずっと……1日の休みとてなく……。
 正にこの点が、新世代と我々との間にある本質的な違いだ。かれらは平和を……退屈な日常の繰り返しではあるけれども、ふと自分の境遇を真摯に見つめられるような穏やかな瞬間が訪れるときには、今まちがいなく幸福であるのだ と実感できるような、今日から想えば まるで夢のように感じられる生活を、まるで知らない どころか、全く想像することさえできないだろう。




*訳注 先端が平たくなっている弾丸の総称。通常の弾に比べて 破壊力に勝っている分、標的を貫通しにくいという傾向がある。 戻る






 カイルを最初に仕込んだのは実兄のデレクだったという。7歳年上のこの兄さんは……彼自身、まだ12歳の少年に過ぎなかったというのに、《審判の日》 以降の数年間、カイルにとっては 兄というよりも、むしろ父であり母であったらしい。


 どこを探せば食べられるものが見つかるのか、どこにねぐらを設ければ翌朝まで安全に過ごせるのか、真冬の寒さを耐え凌ぐにはどうすればいいのか……。


『S a r a h  C o n n o r  i n  2 0 0 7』 『S a r a h  C o n n o r  i n  2 0 0 7』  デレクが弟に授けた全ての事柄は、哺乳類のメスが自分の仔に その身体から叩き込む教えと寸分たがわぬものだった。……それだけではない。運転技術、格闘術、銃の扱い、追手の撒き方、反撃のタイミング……そして 更に驚くべきことには、ヘリの操縦法まで………。
 それは まるで、伝説の女性 サラ ・コナー ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ 〈セカンド・シーズン〉 Vol.1 [DVD] がその息子 ジョンに対して してやったのと全く同じことではなかったか……。
 だが、いったい どうして……? まだ年端のいかない、軍事訓練を受けたこともない一介の少年が、どうして そんな特殊なテクニックの数々を駆使することができたのか……?
 ゲームのおかげなのだ……。機械が人類に反逆を起こす以前、仮想現実として日常生活に浸透していた コンピュータ ・シミュレーションによる擬似体験が、すでにデレクをして潜在的な戦闘員へと変えていたのである。




 数年の後に運悪く兄と はぐれてしまう頃には、もう既にカイルは一人前の男になっていた。……ああ、いや……性的に、という意味ではなく、独りで生きていけるようになっていたということだ。
 そして彼はスターを拾い、幼い彼女の面倒を見ながら、自分が兄から教わったのと同じことを、今度は彼女に叩き込んでいくことになる……。


 抵抗軍 ロサンジェルス支部………。大人たちが見捨てて逃げていった街で、本物の抵抗軍と接触 ・合流する機会を待ち続ける、たった2人だけの “潜入” 拠点……。


 そこへ、ある日 突然 マーカス ・ライトが現われたわけだ。
 

 デレクに与えられた下地を自分自身で研くことによって、野戦生活に充ぶん堪えうるスキルをすでに習得していたカイルの、しかし 未だ荒削りだった戦闘能力や他者との駆引きの仕方などを 最終的に洗練の域にまで持っていったのは、他ならぬマーカスその人なのだった。
 いや……より正確に言うならば、当人との短かった関わりを通じてカイル自身がその内面に取り込んだ、理想的人間としてのマーカス ・ライトだったのである。カイルは、言わば 憧れのマーカスを演じることを通じて自らを更に鍛え上げた……。


 現在のカイルにとっての理想像といえば……もちろん ジョン ・コナー ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ 〈セカンド・シーズン〉 コレクターズ・ボックス1 [DVD] に決まっている。
 いや、カイルにとって だけではない。ジョンは我々すべてにとってのアイドルなのだ。機械を相手にした最終戦争において、決定的な役割を果たす最重要人物……。敗色いちじるしかった残存人類をまとめ上げ、遂には勝利へと導いていった現代の救世主……。
 そう……そうなのだ……彼にまつわる話は、未来のことであるはずなのに、なぜか過去形で語られる。まるでそれらが既に現実のものとなっている史実であるかのように……。
 仮にそういう話……ほとんど信仰とまで云えるほどの伝説談がなかったとしても、ジョン ・コナーという人物は充分に、人々の信頼と尊敬を集めるに価するものを持っている。彼についていけば大丈夫だ……いつかはきっと勝利することができる、と微塵の疑いもなしに信じられるだけの何かがある。 もっと言うならば……


 ジョンのためだったら 俺たちは死ねるのだ。


 皆をそんな気持ちにさせるような資質は、単なるカリスマ性だけではないだろう。そこには、既に現実的記録として残されている出来事と同等の、確固たる重みが存在する。そう……ジョンは既に勝っているのだ。控えめに言ったとしても、すでに勝利している自分たちの未来がありありと見えているのだ。そして その鮮明なヴィジョンこそが、皆をして   -


 この人と一緒にいる限り、決して悪いことは起こらない。


 という気持ちにさせるのである。




 ほんの数回前のミッションでの出来事だが、こんなことがあった……


 ところは正に、以前 カイルとスターが暮らしていた元ロサンジェルス市の、山の手 中心部に位置するショッピング ・モール跡……。その前夜から降り出した雨が夜明け前には雪へと変わった、目尻から滲みだしだ涙が即座に凍りついてしまうような、ひどく底冷えのする朝のことだ。
 ミッションの目的は、プログラムし直された “KAMIKAZE” モトターミネーターを活断層深部へと放つことにより 局地的な地震を誘発させ、L.A.近郊の地下 〔やはり 元近郊と呼ぶべきだろうが〕 に新しく建設……というよりも構築されたH.K.“巣” を回復不能なまでに破壊すること……。
 参加者はジョンを含めて合計 11人……。5人編成の本隊に、3人チーム 二組が側方を固める という配置だった。ジョン自らが率いる本隊は、部下4人が更に二組に分けられていた。こういう編成の場合、俺はいつもカイルと組む。


 作戦は極めて上首尾に進んでいた。ジョンを中心にして常設されている情報戦特殊部隊の活躍によって、敵の裏をかくことに成功したからだ。
 精密に計算され ・割り出された目標地点において、“KAMIKAZE” T-909 は予定どおり解き放たれ、その最後の “任地” へと邁進していった……。
 

 その引き上げ機動時のこと……。
 ヘッド ・バイザーを通じてT-909 の動きをモニタリングしていた仲間のひとりが、件の機械が描く軌跡に異常が認められる と報告してきた。
 あらかじめ想定されていたコースから外れ始めている、というのだ。
 詳細報告を一通り聞いたあと、転送されてきたリアルタイム ・モニターを自ら確かめたジョンは、


    まったく問題はない。


 と一言だけ呟いた。………それでおしまいである。
 それ以じょう 発言する者は誰ひとりいなかった。ジョン ・コナーがそう言うのだから そうなのだ   と全員が直ちに信じたのだ。




 極めて珍しいことだが 11人全員が基地に帰還できた。
 そして その晩おこなわれた宴の席で、初めて真相が明らかにされた……。


 T-909 を再プログラムしたのは 他ならぬジョン自身であったのだが、周到な彼は、命令を実行する機械自身に 最適化自己判断機能を付け加えておいたのだ。そのため 件の特攻マシーンは、目標物をより大規模に破壊することのできる手段が現場で判明すると、即座に初期設定を無効にして自らコースを変更するようになっていたのである。


 件のミッションに参加した隊員たちの、周りよりも ひときわ大きい笑い声の中で、5ヤード離れた弾薬箱に腰かけて ジョンのことを黙って見つめていたカイル ・リースの表情……。
 その瞳はこう語りかけていた   -


 そんなことだろうと思ってましたよ。 だって、あなたは いつでも正しいんだから……。




    2009. 7. 31 続




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Minr Kamti / 亀谷 稔

Minr Kamti / 亀谷 稔

1961年生まれ。
武蔵野美大卒。
建築プレゼンテーション・調理・知的障害者たちの陶芸制作活動補助、といった職を経た後に、2006年7月より創作活動に専念している微細画家 。2007年1月、銀座 - あかね画廊にて初個展。
今現在('08年4月)の描法は、かつて伐採予定地などで行なっていた舞踏を応用した自動筆記法である。
   著書 『全一の展開
         末端の必然』

             奥付より

* オフィシャルサイトにて本の内容をご紹介しております。購入のご決断をされる前に ぜひこちらをどうぞ……。

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