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ターミネーターとレジスタンス 6

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まず T-R 1T-R 2T-R 3T-R 4T-R 5を読む





終わらせる者抗う者 6
     ノアの箱舟   -



<7. Aug. 2026>  3日後に敢行される大規模な攻撃に備えて、各個部隊は拡散時空間アト-ランダム機動を開始した。目標地帯を囲むように配置された 33の出撃ポイントに、綿密に計算され・決せられた攻撃開始時刻の 遅くとも15分前までには到着しなければならない。


 それまで無線は いっさい使えない。
 電波探知式の計測機械類も、無論 ご法度だ。
 援護および爆撃用の航空機は、すべて H.K.が相互識別用に用いているコードを完璧に擬装している。ミッション開始の瞬間まで絶対に敵方に悟られないよう、いつにない慎重さで隠蔽・攪乱工作が行なわれてきたのだ。……この期に及んで感づかれたのでは、既にその犠牲となったかもしれない5人の仲間たちに顔向けができない……。




 スカイネットが これまでにない新戦術を準備しつつあるという情報が、まるで思いも寄らなかった方面……元オレゴン州地方に潜行していた斥候小隊によってもたらされたのは、今からちょうど10日前のことだった。
 かつての合衆国北西部方面は、過去12年間に わずか1回の戦闘も行なわれたことがなく、現在では、どちらかというと “牧歌的な” 景観を呈している数少ない地域の一つとなっていた。 皮肉にも 人間たちによる開発と搾取の手が入らなくなったことが幸いして、その本来の緯度よりも温暖な気候域に適応した植生群の極相林が発達した結果、言わば 野生の楽園と化していたのである。
 ところが………


 その広大な照葉樹林帯取り残されているかもしれない人々と連絡をつける、という目的で当該地域に赴いた北部前哨基地の斥候隊が、その意に反して目にした情景   -


 なんと大掛かりな動物狩りだった……。


 最大級の警戒心とともに遠目で観察したその “一大事業” には、最新型ターミネーターである T-800型ではなくて 無骨きわまりない T-600型が多数 動員されていたという。なぜか……?
 その理由は間もなく明らかになった。


 動物たちは、見た目が人間ではない T-600型をさほど怖がらないのだ。


 これ以上の皮肉があるだろうか……?
 およそ250年に渡って他ならぬ我々アメリカ人に虐待され続けてきた動物たちは、種の違いを超えて、“毛のない獣” たる人間の姿を目撃するや否や、一目散に逃げるべく条件づけられてきた。ところが彼らの目には、全身がメタルで覆われている機械どもの姿態は、たとえ直立二足歩行を行なっていようとも、危険な存在とは映らないらしいのだ……。


 内心の驚きを禁じ得なかった斥候隊員たちが気づいたもう一つの点がある。それは、動物たちの “誘導” という仕事に携わっている T-600どもがいっさいの銃器類を持っていないという事実だった……。
 これも 全く理に適ったことだろう。
 先住民たちが使っていた槍や弓矢に変わり 彼らにとって最も恐ろしいのは、遠く離れた場所からでも致命傷を負わすことのできるライフルの類に違いないのだから………。






 交代で偵察任務に就いていた斥候隊員たち5人は、いずれも北米大陸先住民の別部族出身者だった   イロクォイ6ヵ国連合 * から3名、我が母方の部族 オグララの支族に当たるブルーレ・ラコタ族が1名、そして、現地の地理に精通している ネ・ペルセ族が1名……。
 《審判の日》 以前の、いわゆる 「文明世界」 においては 完全にそこへ適応していた……というか、適応させられていた彼らではあったが、最近18年間の “野生生活” を通じて、白人たちのごとき昔からの文明人とは違って、ものの数ヶ月も経たないうちに、200年前まで自分らの先祖がやっていた本来の生活を取り戻してしまったのである。


 そんな筋金入りの斥候隊だから、当然のことながら 遠目が利く……つまり、その観察眼の精度は ほとんど200m/m 望遠レンズ付きの一眼レフ並 * であるということだ。
 その千里眼の持ち主たちが 皆がみな驚愕したことには、機械どもがに先導し・動物たちがそれに大人しく従っていく……という図は、「ノアの箱舟」 は きっとこんな感じだったろう、と思わせられるようなものだったという。


 足掛け3日間に及んだ収容作業ののち、トランスポートは南南東にその進路を採って飛び去っていった……。
 偵察隊は即座に決死 覚悟 今日は死ぬのにもってこいの日 を決め   当然 そうでないわけがないだろう   、自分たちが目撃したことに関する詳細な報告を、ここ 司令部へと送ったのである。


 5人の消息は、それ以来、まったく、定かではない……。


 送信電波を敵に探知され、怒濤のごとき勢いで襲撃された結果、全員が壮絶な最期を遂げた公算が おそらく高いのだ……。
 かれらが命懸けで我らに託したこのミッションが終わるまでは、救出作戦を敢行している余裕はない。どうか……たとえ 一人でも……生き延びていてほしいものだが………。




*訳注1 現在のニューヨーク州内陸部に住む強大な部族連合。 アメリカ合衆国憲法の理念に多大の影響を与えた政体を数百年前から採用しており、あくまでも合法的に独自のパスポートまで発行していることでも知られる。構成6部族は、モホーク オナイダ 一万年の旅路―ネイティヴ・アメリカンの口承史 ・オノンダカ・カユーガ・セネカ・タスカローラ。 戻る


*訳注2 北米先住民に限らず いわゆる原住民たちの記憶法は、我われ文明人のそれとは根本的に異なっている。それは記憶というよりも むしろ記録なのだ。つまり、視覚が捉えた時系列映像を正確に転写した上で、それらを、まるでスライドショーを観るかのように再生するか、あるいは、コマ撮りにした無数の写真を早回しにした動画を観るかのようにして “思い出す” のである。 戻る




 指令基地に送られてきた情報をもとに、トランスポートを正確に追うことができた。その行き先はバトルマウンテン……元ネヴァダ州中北部の聖山であった。
 その場所では 数ヶ月前から極めて活発な動きが確認されていた。地空ともに、そのほぼ真西に当たる地域との行き来が著しくなっていたのである。
 そこで 当然のことながら我が軍は、両地域への集中的監視を持続していた、というわけなのだ。


 これで、それまではバラバラだった複数の謎が一繋がりになった……。


 敵は新たなプロジェクトに着手したのである。
 北部で捕獲された動物たちは、やがて運ばれてくるだろう。その最終移送場所が北カリフォルニアのシリコン・ヴァレー……かつて数10社にも及ぶ上場企業の本社が、それら自体 複合体を成すようなビルディングの集塊群として軒を連ねていた IT産業のメッカだ。
 今現在は、1990年以前の都市機能を復活させたような形で   無論 そんな大昔のことをじかに見知っているわけではないが……、敵方の生産工場コンプレックスとなっている。 いや……それよりも むしろ、一大工業生命体といったほうが当を得ているだろう。マザー・マシーンとしてのスカイネットが 幾千幾万の “働き蜂”どもを産み出す子宮のごとき場所だ……。
 そして その広大な地帯の一区画において、他種生物型ターミネーターの生産が開始されつつあるらしいのだ。どのように人間を装っても、同種間感情移入性という “不可思議な” 特徴を再現することができないために、こいつは機械だと直感的に見抜かれてしまう、久しく余儀なくされてきた不利を克服するために……。


 明らかにこれは ただならぬ事態だ。


 深く考えなくとも すぐに解る   人間同士ならば、たとえ人種や民族が異なっていても……たとえ 互いの母国語を皆目しらず・共通言語も持ち合せていなかったとしても、日常的な事柄くらいだったら意思の疎通は充分に可能だし、相手の感情でさえも直感的に理解できるものだ。
 ところが他種生物となってくると、《戦前》 世界で全地球的に存在していた愛玩動物たちを別にすれば、感情移入どころか 通常は個体識別すら覚束ない始末……。


 そういう異質な存在たちに酷似させた殺戮マシーンの大群が野に放たれたには………


 想像しただけで ぞっとする。
 本当にこれは ただならぬ事態だ……。
 ジョン・コナーの頭脳を持たぬ 凡人の俺にすら、なんとしてもこの計画を阻止しなければならないということだけは………


………確かに解る。




    2009. 8. 7 続




続けて T-R 7を読む



バトルものフリークの方へ ボーダーラインの初仕事 Part Ⅰ







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Minr Kamti / 亀谷 稔

Minr Kamti / 亀谷 稔

1961年生まれ。
武蔵野美大卒。
建築プレゼンテーション・調理・知的障害者たちの陶芸制作活動補助、といった職を経た後に、2006年7月より創作活動に専念している微細画家 。2007年1月、銀座 - あかね画廊にて初個展。
今現在('08年4月)の描法は、かつて伐採予定地などで行なっていた舞踏を応用した自動筆記法である。
   著書 『全一の展開
         末端の必然』

             奥付より

* オフィシャルサイトにて本の内容をご紹介しております。購入のご決断をされる前に ぜひこちらをどうぞ……。

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